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学歴フィルターやスクールフィルターは違法ではない?労働局にも電話して確認してみた

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皆さんは学歴フィルターという言葉を聞いたことがありますか?就職時に学歴によって就活生を振り分けるということです。「そんなのおかしい!!」と思うのですが、実際には行われていることです。履歴書に学歴を書くわけですからね。

それでなんでこんな話をしているかというと、あるプログラミングスクールの経営者が著作権侵害をしており、そうしたスクールの生徒を自分の会社は採用しないと言っている方がいたからです。

それに対してこの経営者ですが、自分のことは棚に上げて倫理観は?と言っており、炎上しております。Qiitaの記事も非公開にされていますね。この経営者が最悪のは当然として、そのスクール生を採用しないことは許されるのかどうか気になったわけです。

この話についてご存知ない方は以下のまとめをご覧になるとだいたい分かると思います。

【ウェブカツ】プログラミングスクールのブログ、他サイトから無断転載→指摘→経営者「そしたら削除しときますね~」「無断転載は立ち小便の軽犯罪や店のコンセント使った窃盗レベル」 - Togetter

 

 

厚生労働省の「公正な採用」とは何か?

そもそも厚生労働省の言う「公正な採用」とはどのようなことを言うのでしょうか。 厚生労働省のホームページには以下のように書かれています。

次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。

<a.本人に責任のない事項の把握>

  • 本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
  • 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
  • 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
  • 生活環境・家庭環境などに関すること

<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>

  • 宗教に関すること
  • 支持政党に関すること
  • 人生観、生活信条に関すること
  • 尊敬する人物に関すること
  • 思想に関すること
  • 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
  • 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

<c.採用選考の方法>

  • 身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
  • 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

公正な採用選考の基本|厚生労働省

これを見ると分かるのですが、学歴はこの中に含まれていないんですよね。つまり学歴で選考を行うことは問題ないと考えられます。では、実際に学歴フィルターが問題になった事例はないのでしょうか。

 

学歴フィルターは違法ではないとの判断

 しかし、性別や年齢で差別はダメ、思想信条で差別がダメなのであれば、学歴による差別もダメではないかと思うのですが、弁護士さんは以下のように答えています。

「企業には『経済活動の自由(憲法22条および29条)』が認められています。最高裁判決では、これを根拠に、企業の『採用の自由』を広く認めています(三菱樹脂事件・昭和48年12月12日判決)。そのため、採用時の学歴による選別が、違法になるとは考えられないのです」

(中略)

「学歴は、能力や適性につながる重要な情報だと考えられているためです。したがって、『学歴フィルター』を活用すること自体は、違法とはなりません」

 

就活生の進路をはばむ「学歴フィルター」 企業の門前払いは「違法」でないのか? - 弁護士ドットコム

つまり学歴フィルターは能力につながる重要な情報なので、学歴による選別は違法ではないという立場です。つまり良い大学を出ている人は良い仕事ができるであろうという認識だということでしょう。

確かに良い大学を出ている方が、良い仕事をできる可能性はあります。しかし、例外もあります。そう考えると、学歴によって差別することは間違いのようにも思えます。ただ今回の事例のように、企業が著作権侵害を容認するようなスクールで学んだ人は、著作権に対する理解が足りないと考えられるため、弊社で仕事をする能力には達していない」と判断した場合には、それが採用しない根拠になります。

つまり大切なのは「なぜあなたを採用しなかったのか」に対して、合理的な説明ができるかどうかでしょう。ここら辺は難しいところで、「経営者とスクール生は関係ない。能力を見てくれ」という主張もうなずけます。

ただいずれにせよ、学歴フィルターやスクールによる選別を行ったとしても法律違反ではありません。

 

労働局で学歴フィルターについて聞いてみた

それでこのあたりの疑問を労働局にも確認してみました。一応、経営に関わっているので、確認も必要だったためです。労働局の担当者の方に学歴フィルターについて聞いて見ると、「それが御社で仕事する際に必要な資格に関わるのであればOK」と言っていました。

しかし、「学歴のみで判断するのはどうですか?」と聞いたら、「学歴のみだと能力に関係しているとは言えないのでダメです」との返答でした。結局、先ほどと同じで、学歴が会社での仕事に密接に結びついているかが重要だということです。

それでIT系の会社が「おたくのスクール生はとらない」となった時に、会社としては「弊社で仕事をするために必要な資格を得られていない」と考えるということです。でも実績で評価してくれという主張も当然あります。

あと学歴は書かないといけないですが、どこのスクールに行っていたかは書く必要がないですし、独学でやったと言えば済む問題でもあります。 

IT業界全体で是正すべき問題では?

企業経営に関わる身として、「こうしたスクールに通った生徒は取りたくない」という主張は理解できます。しかし、こうしたスクールが生徒を集めていく業界であることが問題ではないでしょうか。

IT業界は万年人不足なのですから、自社でしっかりと教育するシステムを取ってもいいはずです。私の知り合いにもそれを無料で行って、その中から採用している会社があります。

「あのスクールはダメだ」というのは理解できるのですが、代替案を用意しなければIT業界はいつまでたっても健全化せずに、よりコストが安いベトナムやインドなどに外注するという流れが加速するだけだと思います。

自分はIT業界に近いところにいますし、「お前がやれよ」と言われると申し訳ないところはありますが、業界全体のことを考えて動く人がもっと出てきてほしいなと思います。

 

まとめ

今回はプログラミングスクールの問題から学歴フィルターの問題、スクールによって採用を判断する問題について書きました。私自身、IT業界、教育業界の両方に接していますので、こうしたスクールがあるのは許せません。

しかし、IT業界全体として、こうしたスクールが生まれ、生徒が集まるという現実を考えていく必要はあると思うのです。弱小役員なので力はありませんが、IT業界の大企業の皆様にはぜひ考えていただきたいと思います。

 

noteも始めました。いろいろなパターンの生存戦略について書いていますので、ぜひお読み下さい。

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